SAP Cloud Platformって本当に必要?――SAP CPを学習してみた

Pocket

はじめに

SAP Cloud Platform(以下、SAP CP)の学習を始めた当初、私はその特徴・必要性の理解にかなり苦戦しました。機能が多く、色々なことができるとテキストには書かれていますが、実際にどういう場面で使うんだろう?と、その必要性については、中々、腑に落ちない状態が続きました。

そこでこの記事では、SAP CPの学習を始めたての方、SAP CPでできることって何?と感じている方に対して、SAP CPの必要性を伝えることができたらいいなと考えています。

SAP CPとは?

開発環境+様々な機能(サービス)を一括りに、SAP CPと呼びます。

SAP CPは現状、SAP製品を拡張するためのアプリケーション開発用のプラットフォームです。開発環境の中に、DevOpsサービスや開発に用いる多数のテンプレートを備えているため、新たなクラウドアプリケーションを短期間で構築、導入、管理する事ができます。SAP CPに展開したアプリケーションの状態を確認できるコックピットサービスも提供されています。

SAP CPの特徴

SAP CPの最大の特徴は、SAP製品とデータ/システム連携が可能なクラウドアプリケーションを、非常に簡単な手順で作成できることです。SAP CPには、開発したクラウドアプリケーションとSAP製品のデータ/システム連携を簡単に行うためのサービスが多数、備わっています。これは「既に基幹システムにSAPを採用していて、従来の基幹システムが複雑になってしまって困っている」という問題に対して、効果を発揮します。

具体的には、アドオン(パッケージのままでは対応できない、企業独自の業務プロセスやデータ分析を追加するために拡張する)部分を、SAP CP上に分離させることで、基幹システムの複雑化を回避します。システムの複雑化した部分をSAP CPにアプリケーションとして展開することにより、基幹システムの管理負担を軽減させることができます。

なぜSAP CPを使うのか?

では、なぜSAP CPを活用し、基幹システムの管理負担を削減する必要があるのでしょうか。キーワードはレガシーシステムへの処置・Digital Transformation(以下、DX)の推進です。こちらの図をご覧ください。

参考:一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会「デジタル化の進展に対する意識調査」(平成 29 年)

上の図を見ると、「多くの企業が、老朽化した(複雑化した)システムを抱えており、それらのシステムがDXの足かせとなっていると感じている」ということがわかります。昨年の経済産業省のレポートでは、企業がIT資産の運用において、現状維持を続けた場合には、最大12兆円/年の経済損失のリスクがあるとされています。

この危機に対策を講じ、企業をデジタル化するために、SAP CPは強力なツールとなります。システムの簡略化を実現するとともに、基幹システムとクラウド間のデータ連携により、基幹データをクラウド上で活用できるようになり、最新技術によるイノベーションのための基盤を形成することが可能となります。(以下、イメージ図)

まとめると、老朽システムを改善する・DXの基盤を整備するという点で、SAP CPは優れたプラットフォームと言えます。

おわりに

ここまで、SAP CPの特徴、なぜSAP CPを使うのかという2点についてお話をさせていただきました。その中で、SAP CPはシステムの簡略化を行うことに適したプラットフォームであると述べましたが、最近ではSAP Leonardo(AI、Machine Learning、IoT機能等を包括したツール群)をはじめとして、予測・分析によるデータの利活用を実現するための技術も充実してきています。

本記事では、SAP CPの必要性を簡単に説明をするという題目であったため、各種サービスやツールについての紹介は避けました。SAP CPの各種サービスや内部アーキテクチャについては、後日補足の記事を追加しようと思います。

お問い合わせ先

執筆者プロフィール

Nagano Shuntaro
Nagano Shuntarotdi ITコンサルティング部
入社以降、ERPグループで活動しています。
尊敬する先輩方に追いつき、追い越せるよう日々精進しております。
Pocket

関連記事